―産業医の視点から考える、職場環境と生活習慣の落とし穴―
近年、企業の健康課題として「メタボリックシンドローム(以下、メタボ)」が強く意識されるようになっています。特定健診の結果を見て「該当者・予備群が年々増えている」「若手社員にも腹囲や血糖値の異常が目立つ」と感じている人事・総務担当者の方も多いのではないでしょうか。
メタボは個人の自己管理の問題と思われがちですが、産業医として多くの職場を見ていると、「メタボ社員が増えやすい会社」には明確な共通点があることが分かります。
本記事では、メタボ社員が増える会社に共通する3つの特徴を整理し、企業としてどのような対策が考えられるのかを解説します。健康経営や産業保健体制の見直しを検討している企業にとって、実務に活かせる内容を意識しています。
目次
特徴① 長時間労働・不規則な働き方が常態化している
メタボ社員が多い職場で、最も頻繁に見られるのが長時間労働や不規則な勤務形態です。
残業が多く、終業時間が遅い職場では、以下のような生活習慣の乱れが起こりやすくなります。
- 夕食が深夜になり、脂質・糖質中心の食事になりやすい
- 朝食を抜く、もしくは簡単に済ませてしまう
- 運動する時間が確保できない
- 睡眠時間が短く、ホルモンバランスが乱れる
これらはすべて、内臓脂肪の蓄積や血糖・脂質異常を引き起こす要因です。特に「遅い時間の食事」と「慢性的な睡眠不足」は、メタボリスクを大きく高めることが知られています。
また、長時間労働が常態化している会社では、「健康よりも仕事優先」という暗黙の価値観が形成されやすく、社員自身も体調管理を後回しにしがちです。その結果、健診で異常を指摘されても放置され、数年後にはメタボ該当となるケースが少なくありません。
産業医の視点では、メタボ対策は労働時間管理と切り離せません。
業務量の適正化、残業削減、フレックスタイムやテレワークの活用など、働き方そのものを見直すことが、結果的に社員の健康リスク低減につながります。
特徴② 運動不足になりやすい職場環境・文化

メタボ社員が増える会社の2つ目の特徴は、運動不足を助長する職場環境や企業文化です。
現代のオフィスワークでは、1日の大半を座ったまま過ごす社員が珍しくありません。以下のような環境は、特にメタボリスクを高めます。
- 移動が少なく、ほぼ一日中デスクワーク
- エレベーターやエスカレーターが中心で階段を使わない
- 昼休みに外に出る文化がなく、座ったまま食事をとる
- 「忙しいから運動は無理」という雰囲気が蔓延している
運動不足は、消費エネルギーの低下だけでなく、筋肉量の減少やインスリン抵抗性の悪化を招きます。特に内臓脂肪は、運動量が少ない状態で蓄積しやすく、見た目以上に健康リスクが高い点が問題です。
さらに、「運動は個人の趣味」「会社が関与することではない」という考え方が根強い企業ほど、メタボ社員が増えやすい傾向があります。産業医としては、運動しやすい環境づくりも企業の健康配慮義務の一部と捉えることが重要だと感じています。
例えば、
- 昼休みに軽い体操やストレッチを推奨する
- 社内階段の利用を促す掲示を行う
- ウォーキングイベントや歩数アプリを活用する
といった小さな取り組みでも、社員の行動変容のきっかけになります。
特徴③ 健康管理が「個人任せ」になっている
3つ目の特徴は、健康管理が完全に個人任せになっている会社です。
健康診断は実施しているものの、
- 結果を配布するだけでフォローがない
- メタボ該当・予備群でも受診勧奨をしていない
- 保健指導や産業医面談が形骸化している
といった状態に心当たりはないでしょうか。
メタボは自覚症状がほとんどないため、社員本人が危機感を持ちにくい疾患です。そのため、会社としての関与が弱いと「分かってはいるが何もしない」状態が続き、数年かけて生活習慣病へと進行してしまいます。
特定健診・特定保健指導の制度は整っていますが、実際の職場では十分に活用されていないケースも多く見られます。
厚生労働省も、メタボ対策は個人の努力だけでなく、職場や社会環境の整備が重要であると示しています。
産業医や保健師が関与し、
- 健診結果に基づく面談
- 生活習慣改善の具体的アドバイス
- 継続的なフォローアップ
を行うことで、初めてメタボ対策は実効性を持ちます。健康管理を「自己責任」で終わらせない姿勢が、メタボ社員の増加を防ぐ鍵となります。
メタボ社員を増やさないために企業ができること
ここまで見てきた3つの特徴は、いずれも「会社の仕組み」や「職場文化」に深く関係しています。
メタボ対策を本気で進めるためには、以下のような視点が重要です。
- 働き方改革と健康施策を連動させる
- 運動・食事・睡眠を意識しやすい職場環境を整える
- 産業医・保健師と連携し、健診後のフォローを強化する
メタボ社員の増加は、将来的な医療費の増大や労働生産性の低下、さらには重篤な疾病による休職・離職リスクにも直結します。逆に言えば、今の段階で対策を講じることで、企業にとっても社員にとっても大きなメリットが得られます。
まとめ
メタボ社員が増える会社には、
- 長時間労働・不規則な働き方
- 運動不足を助長する職場環境
- 健康管理を個人任せにしている体制
という共通した特徴があります。
メタボは「本人の意識の低さ」だけで片付ける問題ではありません。産業医の立場から見ると、企業の関わり方次第で予防・改善が十分に可能な健康課題です。
自社の現状を振り返り、「メタボ社員が増えやすい環境になっていないか」を点検することが、健康経営への第一歩となります。産業保健体制の見直しや専門家の活用を通じて、社員が健康に働き続けられる職場づくりを進めていきましょう。
株式会社NoLaBoが提供する産業保健サービス
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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