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【初心者必見】衛生管理者の職場巡視ガイド

衛生管理者 職場巡視 アイキャッチ

「衛生管理者になり、毎週職場巡視をするように言われたが、よくわからない」

「毎週職場巡視やり始めたが、変化がないので毎回同じことを書いている」

職場巡視で確認することについては、テンプレート的なものが検索するとでてくるので、まずはその様式を使用して職場巡視をすると思います。しかしいざ始めてみても、2回目以降はあまり変化がなく、職場巡視自体の意義やモチベーションを保つことが難しくなる相談を受けることが多いです。

今回は「【初心者必見】衛生管理者の職場巡視ガイド」をテーマに記事を作成しました。職場巡視の見方を変えることで、働きやすい環境作りや法令順守ができます。ぜひ最後までご覧ください!

衛生管理者とは?役割と重要性

衛生管理者は、労働安全衛生法に基づいて一定規模以上の事業場に選任が義務付けられている職種です。主に労働者の健康を守ることが役割であり、その一環として「職場巡視」を定期的に行う必要があります。

衛生管理者の主な役割

  • 労働者の健康障害を未然に防ぐ
  • 健康診断やストレスチェックの実施
  • 職場環境の改善提案
  • 衛生委員会への報告と意見の表明

現場で起こり得る健康リスク(例えば騒音、換気不良、温湿度、照度など)に対して、気付き・対策を提案するのが重要です。単に「巡回する」だけでなく、問題点を見つけ、関係者と共有し、改善につなげていくことが求められます。

職場巡視の目的と法的義務

職場巡視は衛生管理者の「義務」として定められています。労働安全衛生規則第10条では、「週1回以上の職場巡視」が求められており、これは法令で明記された行為です。

巡視の目的

  • 職場の衛生状況の把握
  • 作業環境の安全性確認
  • 健康障害の要因の早期発見
  • 労働者とのコミュニケーションの強化

たとえば、粉じんの飛散や換気不足といった環境上の問題、作業姿勢の悪さ、照明の暗さなど、現場を「目で見て」「耳で聞いて」確認することが重要です。

衛生管理者の職場巡視|具体的な流れとチェックポイント

では、実際にどのような手順で職場巡視を行えばよいのでしょうか?以下に基本的な流れとチェックリストを示します。

職場巡視の基本的な流れ

  1. 事前準備
    巡視エリア、時間、対象業務の確認。過去の巡視記録があれば参照。
  2. 現場の巡視
    実際に作業場を歩き、目視・聴取・においなど五感を使って環境を確認。
  3. チェックポイントの確認例
    • 換気・空調は適切か
    • 粉じん・騒音などの発生状況
    • 作業者の服装や保護具の使用状況
    • 整理整頓、清掃の実施状況
    • 危険物や化学物質の保管方法
  4. 記録と改善提案の作成
  5. 関係部署と連携し改善の実施へ

「巡視=ルーチンワーク」になりがちですが、その都度新しい視点で見ることが大切です。またその結果を産業医に必ずフィートバックし確認してもらいましょう!

優秀な産業医であれば、色々とアドバイスがもらえるので次回までに改善するという流れを作ることができるので、よりよい職場づくりにつながります。

また、職場巡視は産業保健の中でも重要なウエイトを占めると私は考えています。普段外来で診察をするときは患者を診て、検査をして、鑑別疾患を考え、診断に基づき治療を行います。職場でも同様のことが言えます。職場環境を診て、作業環境測定をして、原因や可能性などを考え、結果に基づいて最適な打開策を提案します。

以上のことより職場巡視は重要なことであり、産業医だけではなく衛生管理者の成長も必要です。優秀な産業医は、衛生管理者の質問を心待ちにしており、顧問先企業を良くしたいと考えアドバイスをします。聞きたいことがあるのに聞きにくい方や、そもそも職場巡視をしない産業医がいれば、セカンドオピニオンを検討してください!

巡視結果の記録・報告方法とその活用

職場巡視を行った後は、その結果をしっかりと記録し、改善策を明確にする必要があります。

記録のポイント

  • 巡視日・時間・エリア
  • 気付いた点(良い点・改善点)
  • 改善の必要性と優先度
  • 担当者や期限を記載した改善提案

報告先とその意義

  • 衛生委員会への報告(義務)
  • 管理職・現場リーダーとの情報共有
  • 総務や人事部門との連携

記録を「蓄積データ」として活用することで、過去からの改善履歴やトレンドが見えるようになり、職場全体の衛生管理レベルの向上に繋がります。

巡視を効果的に行うためのコツと現場での工夫

最後に、実際の現場で役立つ「ちょっとした工夫」やポイントを紹介します。

効果的な巡視のコツ

  • 同じ時間・ルートにこだわらない
    日や時間を変えることで、見えるものが変わります。
  • 現場の声を聞く
    巡視中に作業者と雑談することで、潜在的な問題を拾えることもあります。
  • 改善の“種”を探す目で巡視する
    問題点だけでなく、良い取り組みも記録・共有することでモチベーションアップに。
  • 写真やチェックリストの活用
    視覚的な資料は上司への報告や改善提案に説得力を持たせます。


職場巡視はただの確認作業ではなく、労働者の健康と安全を守るための「現場の健康診断」のようなものです。継続と改善の積み重ねが、信頼される衛生管理者への第一歩です。

まとめ

衛生管理者としての職場巡視は、単なる義務ではなく、現場の安全と健康を守る重要な活動です。週1回以上の巡視が法律で求められており、正しい方法と視点を持って取り組むことで、作業環境の改善や労働者の健康リスクの低減につながります。

事前準備からチェック、報告・記録、そして現場との対話まで、一連の流れを丁寧にこなすことが、信頼される衛生管理者の第一歩です。小さな気づきを大切にし、改善へとつなげていきましょう。

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