職業性難聴は、長時間にわたり大きな騒音にさらされることで徐々に聴力が低下する職業病の一つです。特に製造業、建設業、運輸業などの企業の現場では、高い音圧レベルの騒音が発生しやすく、適切な予防策を講じなければ、従業員の健康被害が進行してしまいます。
本記事では、職業性難聴の原因とリスク、予防策、そして企業が取るべき騒音管理の方法について詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください!
目次
職業性難聴とは? 〜発生メカニズムと影響〜
職業性難聴の定義
職業性難聴とは、職場環境における過度な騒音が原因で引き起こされる聴覚障害のことです。長時間にわたる騒音への曝露により、耳の内耳にある有毛細胞が損傷し、一度損傷すると回復が困難であることが特徴です。
騒音が聴覚に与える影響
騒音は聴覚にさまざまな影響を及ぼします。例えば、最初は高音域の聴力低下から始まり、放置すると日常会話の音域まで影響を受けるようになります。また、耳鳴りや音の聞き取りづらさが発生し、仕事や日常生活に支障をきたす可能性もあります。
どのくらいの騒音でリスクがあるのか?
一般的に、85dB(デシベル)以上の騒音環境に長時間さらされると、職業性難聴のリスクが高まるとされています。以下は代表的な騒音レベルの例です。
騒音レベル | 例 |
60dB | 普通の会話 |
85dB | 交通量の多い道路 |
100dB | 電動工具(ドリルなど) |
120dB | ジェットエンジンの近く |
したがって、100dBを超えるような環境で作業を続ける場合、特に注意が必要です。
詳しく知りたい方は厚生労働省の「騒音障害防止対策」を参考にしてください
職業性難聴の主な原因
長時間の騒音曝露
長時間にわたり大きな音にさらされることで、耳の有毛細胞が徐々にダメージを受けます。特にヘッドホンやイヤホンを使用しながらの作業も、騒音曝露時間を延ばす要因となるため注意が必要です。
突発的な大音量の影響
爆発音や機械の急な作動音など、突発的な大音量も耳に大きな負担を与えます。これを繰り返すことで、急性難聴や慢性難聴につながる可能性があります。
適切な耳の保護が行われていない
耳栓やイヤーマフを適切に装着していない、または保護具の使用が義務付けられていない職場環境では、職業性難聴のリスクが高まります。
職業性難聴の予防策
騒音曝露時間の管理
騒音環境下での作業時間を制限し、休憩時間を適切に挟むことが重要です。例えば、85dB以上の環境では1時間ごとに5〜10分の静かな休憩を取るといった対策が推奨されます。
騒音レベルの低減
- 防音設備の導入:機械や設備に防音カバーを取り付ける
- 作業レイアウトの見直し:騒音源から遠ざかる配置を検討する
- 静音設計の機器導入:騒音の少ない機械を使用する
個人用保護具(PPE)の活用
耳栓やイヤーマフを適切に使用し、騒音を物理的に軽減することが大切です。特に、適切な遮音性能(NRR値:Noise Reduction Rating)を持つ耳栓やイヤーマフを選ぶことが重要です。
定期的な聴力検査
早期発見・早期対応のために、定期的な聴力検査を実施し、聴力低下の兆候がないか確認しましょう。特に、85dB以上の環境で働く従業員には、年に1回の聴力検査を推奨します。
企業が取り組むべき騒音管理
騒音リスクアセスメントの実施
企業は、職場の騒音レベルを測定し、リスクを評価することが求められます。これによって、適切な対策を講じることが可能になります。
安全教育の徹底
従業員に対して職業性難聴のリスクや予防策についての教育を実施し、耳の保護が重要であることを理解してもらうことが大切です。
騒音管理のPDCAサイクル
- 測定(Plan):騒音レベルを測定し、問題を把握
- 対策(Do):防音設備の導入や耳栓の配布
- 評価(Check):効果的な騒音管理ができているか確認
- 改善(Act):必要に応じて追加対策を実施
このように、継続的な騒音管理を行うことで、職業性難聴の発生リスクを大幅に減らすことができます。
まとめ
職業性難聴は、一度発症すると回復が難しく、労働者の生活や仕事の質に大きな影響を与えます。そのため、企業側が適切な騒音管理を実施し、従業員の健康を守ることが重要です。
主な予防策として、以下のポイントを押さえましょう。
✅ 騒音曝露時間を管理し、適度な休憩をとる
✅ 防音設備の導入や作業レイアウトの見直し
✅ 適切な耳栓・イヤーマフを使用する
✅ 定期的な聴力検査を実施する
✅ 企業として騒音リスクアセスメントを行い、安全教育を徹底する
これらの対策を徹底することで、職業性難聴のリスクを最小限に抑え、さらなる従業員が健康的に働ける環境を整えましょう。
【産業医について】
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。
【代表紹介】 野呂 昇平

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
【各種資格】
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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