「家族からいびきがひどいと言われて調べたら睡眠時無呼吸の症状と一致する」
「仕事中に眠くなるけど、原因がわからない」
「同僚でCPAPをしている人がいて、よく眠れるようになったと聞いた」
皆さんの周りに睡眠時無呼吸症候群と言われている人はいませんか?睡眠時無呼吸は検査の方法や治療が確立しており、治療により仕事や睡眠の質が格段に向上します。
本日は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)と安全運転管理|事故リスクを下げる対策と企業の責務」をテーマに記事を作成しました。最後までご覧ください!
目次
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは? ~安全運転に及ぼす影響~
SASの主な症状と原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる病気です。特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:Obstructive Sleep Apnea)が多く、肥満や加齢、首周りの脂肪沈着、扁桃肥大などが原因とされています。
主な症状として以下が挙げられます。
夜間頻尿や起床時の頭痛
睡眠中のいびき(特に断続的に止まるいびき)
日中の強い眠気(特に運転中や会議中にウトウトする)
集中力や判断力の低下

SASが引き起こす運転リスク(居眠り運転・判断力の低下)
SASの最大のリスクは、運転中の突然の眠気と判断力の低下です。軽度のSASでも集中力が散漫になり、ブレーキの踏み遅れやハンドル操作ミスが起こりやすくなります。
SASと交通事故の関係|国内外のデータ
研究によると、SAS患者の交通事故リスクは健常者の約2~7倍に上ると言われています。
- 国内の事例:SASが原因とされるバスやトラックの重大事故が報告されている
- 海外のデータ:米国ではSASと診断された運転手の事故率が3倍以上
安全運転管理者が知っておくべきSASのリスクと対策
法律やガイドラインで求められる対応
日本では、道路交通法や労働安全衛生法に基づき、安全運転管理者は従業員の健康状態を把握し、事故防止策を講じる責務があり、SASのスクリーニングを導入することが推奨されています。具体的には、BMIが高い、首回りが太い、大きないびきをかく、日中の強い眠気を訴えるなど、SASの疑いがある社員を早期に特定し、専門医への受診を促すことが必要です。

運転従事者の健康管理とSASスクリーニングの重要性
運転前のチェックリスト活用(眠気・疲労の自己申告)
定期健康診断でのSASスクリーニング導入
SASの疑いがある社員への専門医の受診推奨
SASの診断・治療方法 ~運転業務への影響を最小限に~
SASの診断方法(簡易検査・PSG検査)
SASの診断には以下の2つの検査が行われます。
- 簡易検査(スクリーニング)
自宅で手軽に実施できる簡易的な検査で、睡眠時の酸素飽和度、呼吸の気流、いびきの有無を記録します。専用の装置(携帯型検査機器)を装着して睡眠をとるだけで、通常の生活を妨げずに検査が可能です。結果をもとに、精密検査の必要性や治療方針を検討します。
- PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)
簡易検査でSASが疑われた場合、より詳細な検査としてPSG検査が病院や専門施設で行われます。脳波、筋電図、心電図、眼球運動、呼吸運動などを同時に測定し、睡眠の質、無呼吸の回数・時間などを精密に評価します。これにより病状の重症度を正確に把握し、最適な治療方法を選択することができます。グッドライフクリニック西町南では入院不要の在宅PSG検査にも対応しております。
PSG検査は保険診療で約11,000~12,000円(3割負担)で受けることができます

主な治療法と運転再開のタイミング

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
最も標準的かつ効果的な治療法です。睡眠時に専用のマスクを鼻または口に装着し、機器から送り込まれる空気で気道を広げ、無呼吸や低呼吸を防ぎます。多くの場合、治療開始後すぐに日中の眠気や疲労感が改善され、安全な運転が可能になります。定期的に専門医の診察を受け、治療効果を継続的に評価することが大切です。
マウスピース(口腔内装置)治療
軽度~中等度のSAS患者に有効な治療法で、睡眠中に装着することで下顎を前方に移動させ、気道の閉塞を軽減します。CPAPに抵抗感のある方や、比較的症状が軽い方に推奨されることがあります。

外科的治療
扁桃肥大や口蓋垂(のどちんこ)が長いなどの解剖学的異常が原因となっている患者に対して行われる治療法です。これらの部位を外科的に切除・縮小することで気道の閉塞を改善します。ただし、適応が限られており、専門医の詳細な診断が必要です。
■運転再開のタイミング
運転業務に従事される方がSASの診断を受けた場合、治療の開始とともに適切なタイミングで運転再開を判断する必要があります。CPAP療法を開始した場合、多くの患者が数日~数週間で症状が大幅に改善し、安全に運転できるようになります。ただし個人差があるため、必ず医師の指導を受け、睡眠の質や日中の眠気の程度を客観的に評価したうえで運転再開を検討することが重要です。
企業の責任と従業員の安全意識向上
事業者の安全運転管理責任(道路交通法・労働安全衛生法)
企業にはSAS患者が事故を起こさないよう適切な管理を行う責任があります。
社員教育のポイント(SASの早期発見とリスク管理)
- SASに関する研修を定期的に実施
- 自己申告しやすい環境作り(無申告が事故につながる)
まとめ|SAS対策で交通事故を防ぐために
SASは放置すると重大な交通事故につながる可能性があります。企業と従業員が連携し、適切な診断・治療・管理を行うことで事故リスクを大幅に低減できます。
安全運転管理者が実施すべき具体策
- SASスクリーニングを義務化
- 運転前の眠気チェックを徹底
- 診断・治療を受けた従業員の管理を強化
企業としての責務を果たし、安全な職場環境を築いていきましょう!