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職業性腰痛を防ぐ!デスクワークの腰痛対策とエイジフレンドリー補助金の活用法

「社内で腰痛と肩こりの人が多く、会社として対策をしたい」

「自分でできるセルフケアを教えて欲しい」

「社内で運動教室ができると聞いたことあるけど、どうやってやるの」

直近の労災の内訳をみると、転倒災害と職業性腰痛が多くを占めており、特に職業性腰痛は正しい知識があれば、予防できることであり労災防止の観点からも早期の取り組みは重要です。

本日は「職業性腰痛を防ぐ!デスクワークの腰痛対策とエイジフレンドリー補助金の活用法」をテーマに記事を作成しました。最後までご覧ください!

職業性腰痛とは?デスクワークでのリスク

職業性腰痛とは、仕事に関連して繰り返される特定の姿勢や動作によって慢性的に腰部に負担がかかり、引き起こされる腰痛の総称です。特にデスクワークのように同一姿勢を長時間続ける職種では、腰部への負担が蓄積されるため、腰痛発症のリスクが高まります。

デスクワークが腰痛を引き起こすメカニズム

デスクワークでは、次のような要因が腰痛の原因になります。

  • 長時間の座り姿勢による血流の悪化

まず、長時間座ったままの姿勢では骨盤が後傾しやすく、腰椎の正常な前弯が失われます。これにより椎間板内の圧力が上昇し、椎間板変性やヘルニアなどの原因となります。また、股関節や腰部の血流が低下するため、筋肉の柔軟性が失われ、緊張や疲労が生じ、腰痛が発生しやすくなります。

  • 姿勢の悪さによる腰への負担増加

不良姿勢(前かがみや猫背など)は腰椎周囲の筋肉に過剰な負荷を与えます。特に腰椎を支える脊柱起立筋やインナーマッスルの筋力低下が起こると、背骨の安定性が失われ、慢性的な痛みにつながります。

  • 運動不足による筋力低下

筋力が低下すると姿勢保持が難しくなり、筋肉のバランスが崩れて腰椎や骨盤への負担が増大します。その結果、日常的な動作であっても腰痛が発生しやすくなります。

腰痛が慢性化すると集中力や作業効率が低下し、労働生産性に大きく影響します。したがって、個人任せにせず職場全体で腰痛予防策を講じることが重要です。


デスクワークによる腰痛の予防策

デスクワークは長時間同じ姿勢で作業を行うため、腰に負担がかかりやすく、慢性的な腰痛を引き起こすことがあります。腰痛を未然に防ぐためには、日常の作業環境と生活習慣を見直すことが重要です。以下のポイントを参考に、腰痛を予防するための環境整備と習慣化を心がけましょう。

① 正しい姿勢とデスク環境の整備

腰痛を防ぐためには、正しい座り方を意識することが大切です。

  • 椅子の高さ:足の裏が床につくように調整する
  • 背もたれの角度:110度程度に傾け、腰をサポートする
  • モニターの高さ:目線の高さに合わせて設置する

腰痛を防ぐ第一歩は、正しい座り方を習慣化することです。

椅子の高さは足の裏がしっかり床につき、膝が90度程度になるように調整しましょう。

深く腰掛けて、背もたれを利用し、背中全体をサポートすることが大切です。

背もたれの角度はおよそ110度程度に設定すると、腰への負担を軽減できます。

② 腰に負担をかけない椅子・机の選び方

エルゴノミクス(人間工学)に基づいた椅子や机を使うことで、腰への負担を軽減できます。例えば、以下のようなポイントに注目しましょう。

  • 腰を支えるクッション付きの椅子

腰部をしっかりサポートするランバーサポート付きのタイプを選ぶとよいでしょう。クッション性が高く、座面の奥行きや高さが調整可能なものを選ぶことで、体格や作業スタイルに合わせたカスタマイズが可能になります。

  • 昇降式デスクを導入し、立ち作業と座り作業を交互に行う

昇降式のデスクも一般的になってきています。これは座り作業と立ち作業を交互に行うことを可能にし、腰や背中にかかる負荷を分散するのに役立ちます。特に、立ち作業を適度に取り入れることで、血流が促進され、腰痛の予防や改善にもつながります。

③ 休憩・ストレッチの重要性

どれほど優れた環境を整えても、長時間同じ姿勢を続ければ、筋肉は硬くなり腰痛リスクが高まります。そのため、1時間に一度は立ち上がり、軽いストレッチを行うことを習慣化しましょう。立ち上がって腰を回したり、前後左右に伸ばしたりする簡単な動作を取り入れるだけでも、筋肉の緊張がほぐれ、腰痛を防ぐ効果があります。

また、可能なら短時間のウォーキングや、デスク周りでできるスクワットなどの軽い運動を取り入れるのも有効です。定期的に身体を動かすことで、腰回りの血流が改善され、筋肉の柔軟性が保たれます。

これらの予防策を日常的に意識して取り入れることで、腰痛を予防し、健康的で快適なデスクワーク環境を実現しましょう!


腰痛対策に役立つ習慣とトレーニング

① 仕事中にできる簡単なストレッチ

  • 背伸びをして背筋を伸ばす
  • 椅子に座ったまま腰を左右にひねる

② 腰を強化するトレーニング方法

スクワット(下半身を強化する)

プランク(腹筋と背筋を鍛える)

③ 腰痛改善に役立つ生活習慣

  • 食事:骨や筋肉を強化するため、カルシウムやタンパク質を摂取する
  • 睡眠:硬すぎず柔らかすぎないマットレスを選ぶ

エイジフレンドリー補助金とは?職場環境改善のチャンス!

​エイジフレンドリー補助金は、高年齢労働者の労働災害防止や健康保持増進を目的として、事業主が職場環境の改善や健康支援の取り組みを行う際に、その費用の一部を補助する制度です。

参考サイト:令和6年度エイジフレンドリー補助金https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001158947.pdf

対象者

この補助金の対象となるのは、労災保険に加入している中小企業の事業主です。​具体的には、以下の条件を満たす事業主が該当します:

  • 小売業:​常時使用する労働者数が50人以下、または資本金が5,000万円以下
  • サービス業:​常時使用する労働者数が100人以下、または資本金が5,000万円以下​
  • 卸売業:​常時使用する労働者数が100人以下、または資本金が1億円以下​
  • その他の業種:​常時使用する労働者数が300人以下、または資本金が3億円以下​

また、常時1名以上の労働者を雇用していることが必要です。

補助金の使い道

職業性腰痛の予防や改善を目的とした取り組みとして、以下のような費用が補助対象となります:​

  1. 職場環境の整備:​重量物の取り扱いや介護作業における労働災害防止対策として、以下のような設備や装置の導入が該当します:
    • 介護現場での移乗介助時の身体的負担を軽減する機器の導入​
    • 重量物の持ち運びを補助する装置の導入​
    • 作業姿勢を改善するための作業台の高さ調整や作業環境の改善
  2. 教育・研修の実施:​腰痛予防のための適切な作業方法や介護技術(ノーリフトケアなど)を習得するための教育や研修の実施が該当します。
  3. 運動指導の実施:​労働者の腰痛予防のため、専門家等による運動プログラムに基づいた身体機能のチェックや運動指導の実施が該当します。

補助額

補助率や上限額は、実施する取り組みの内容によって異なります。​職業性腰痛の予防に関連する取り組みの場合、以下のようになります

  • 職場環境の整備:​補助率は1/2で、上限額は100万円​
  • 運動指導の実施:​補助率は3/4で、上限額は30万円​

ただし、具体的な補助率や上限額は、年度や施策の内容によって変更される可能性があるため、最新の情報を確認することが重要です。 ​

コースの種類

エイジフレンドリー補助金には、事業主の取り組みに応じて複数のコースが設けられています。​職業性腰痛の予防に関連する主なコースは以下のとおりです

  1. エイジフレンドリー総合対策コース(令和7年度より新設予定):専門家によるリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて優先順位の高い対策を講じる取り組みを支援するコースです。​補助率は4/5で、上限額は100万円です。​
  1. 転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース:​労働者の転倒防止や腰痛予防のため、専門家等による運動プログラムに基づいた身体機能のチェックや運動指導等を実施する取り組みを支援するコースです。​補助率は3/4で、上限額は30万円です。
  2. 職場環境改善コース:​1年以上事業を実施している事業場において、高年齢労働者にとって危険な場所や負担の大きい作業を解消する取り組みを支援するコースです。​補助率は1/2で、上限額は100万円です。​
  3. コラボヘルスコース:​事業所カルテや健康スコアリングレポートを活用した、労働者の健康保持増進のための取り組みを支援するコースです。​補助率は3/4で、上限額は30万円です。

これらのコースを活用することで、事業主は職場の安全性や労働者の健康を向上させることが可能となります。特に、職業性腰痛の予防や改善を目指す取り組みを行う際には、これらの補助金を積極的に活用することで、効果的な対策を実施することが期待できます。


エイジフレンドリー補助金を活用した腰痛対策の具体例

【成功事例】 IT企業、エルゴノミクスチェアの導入による慢性腰痛改善

エイジフレンドリー補助金を活用した腰痛対策の具体例として、座り作業が多い企業が補助金を活用し、エルゴノミクスチェアを導入した事例が挙げられます。長時間座りっぱなしでの作業は、腰痛や肩こり、姿勢の悪化を招き、労働者の健康だけでなく、企業の生産性低下にもつながります。

あるIT企業がエイジフレンドリー補助金を利用して、全従業員の椅子をエルゴノミクスチェアに置き換えました。従業員の腰痛に対するアンケートを実施したところ、導入前は全体の約60%が慢性的な腰痛を訴えていましたが、導入後3ヶ月でその割合は25%以下に減少しました。従業員の健康状態の改善に伴い、作業効率も約15%向上しました。この取り組みは企業の健康経営としての評価も高まり、人材採用にも好影響を与えています。

申請の流れ

自社のみで行うのではなく、経験のある専門機関に相談をして、具体的に何を良くするために補助金を申請するのかを明確にしましょう!

①まず企業が補助金活用計画を策定し、申請書の準備を行う

申請書には具体的な導入目的、期待される効果、導入するエルゴノミクスチェアの仕様などを記載します。

②申請を行い、行政機関の審査を経て、承認されると補助金が受給される

審査では、補助金導入による具体的な健康増進効果が明確に示されているかが重視されます。受給後も導入効果の報告が求められるため、導入後のフォローアップ調査を行い、効果測定を継続することが重要です。


まとめ:職業性腰痛を防ぎ、健康的に働くために

腰痛対策をしっかり行うことで、仕事の効率が向上し、健康的に働くことができます。エイジフレンドリー補助金を活用し、腰に優しい職場環境を整えましょう。