「最近いびきがひどくなったと言われた」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「朝起きても疲れが取れないし、昼間に眠くなる」
このような症状を感じている方、それはもしかすると睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因かもしれません。特に肥満気味の方やメタボリックシンドロームと診断された方にとって、SASは見逃せない健康リスクとなります。
今回は、「肥満の方は要注意!睡眠時無呼吸症候群とメタボの関係」についてわかりやすく解説していきます。自覚症状が少ないために放置されがちなこの病気ですが、放置してしまうと高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの重大な疾患につながる可能性があります。
目次
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠中に「呼吸が止まる」「浅くなる」ことで、身体に十分な酸素が供給されず、様々な健康障害を引き起こす病気です。医学的には以下のように定義されます。
- 10秒以上の無呼吸・低呼吸が1時間あたり5回以上
- 日中の過度な眠気や疲労感などの症状を伴う
大きく分けて3つのタイプがあります。
- 閉塞型(OSA):肥満や扁桃肥大などにより、上気道(のど元)が睡眠中に塞がってしまう。
- 中枢型(CSA):脳の呼吸中枢の異常により呼吸命令が出ない(高齢者や心不全患者に多い)。
- 混合型 閉塞型と中枢型の要素がある
特に40〜60代の男性、肥満体型の方に多くみられ、いびきが目立つことが特徴です。
肥満とSASの深い関係
肥満になると、首回りや喉の周辺に脂肪がつきやすくなります。これが空気の通り道を圧迫し、睡眠中に無呼吸を引き起こします。さらに、腹部の内臓脂肪が横隔膜を押し上げ、肺の膨張を妨げることで呼吸が浅くなります。
BMIとリスク
- BMIが25以上:SASリスクが徐々に増加
- BMIが30以上:中等度以上のSASが多発
- 首周り(男性で40cm以上、女性で35cm以上)もリスクの目安
このように、肥満はSASの「原因」であると同時に、「結果」としても関与してきます。
BMI35以上の高度肥満症になると、多くの方にSASが併発し、平均寿命が5-10年短くなるといわれております。
メタボリックシンドロームとの関係
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、内臓脂肪型肥満を中心に、高血圧、高血糖、脂質異常症が複合的に絡み合った状態です。SASとメタボは以下のような“悪循環”の関係にあります。
無呼吸が引き起こす体内の異常
- 交感神経の興奮:血圧上昇、心拍数増加
- 低酸素状態:インスリン抵抗性の増加→糖尿病のリスク
- 慢性的な炎症反応:動脈硬化や脂質異常の悪化
つまり…
SASがあると、メタボが進行しやすくなり、
メタボがあると、SASが悪化しやすくなる、
という相互作用があるのです。
実際、SAS患者のうち、約70%がメタボに該当するという報告もあります。
放置するとどうなる?
SASは「いびきがうるさい」「寝ている時に苦しそう」といった軽視されがちな症状から始まりますが、放置すると以下のリスクが現実化します。
- 高血圧(夜間の血圧上昇が持続)
- 心筋梗塞・脳卒中(早朝にリスクが高まる)
- 糖尿病の悪化
- うつ病や認知機能低下
- 日中の眠気による交通事故・労働災害
中にはSASが原因で不整脈や突然死に至るケースもあります。特に「高血圧なのに薬が効かない」「健康診断でいつも脂質が高い」などの方は、SASが隠れている可能性があります。
治療法と検査方法
自宅でできる簡易検査もあります
睡眠中の呼吸や血中酸素濃度を測定する簡易終夜睡眠検査(PG)を用いれば、自宅でも診断が可能です。必要に応じて、精密なポリソムノグラフィー(PSG)を行う施設もあります。
主な治療法
- CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
- 鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ
- 最も有効な治療法であり、睡眠の質を改善、血圧や糖尿病にも良い影響あり
- 鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ
- 生活習慣の改善
- 減量(体重5〜10%の減量で症状が大きく改善)
- 禁酒(特に就寝前の飲酒は気道を緩めてしまう)
- 睡眠の姿勢調整(仰向けを避ける)
- 減量(体重5〜10%の減量で症状が大きく改善)
マウスピース、寝具の調整などがありますが、肥満の方の場合は生活習慣の改善による減量が最も重要です!
睡眠時無呼吸の検査を受けたい方へ
「最近いびきが気になる」「日中に強い眠気がある」「メタボで通院しているがなかなか改善しない」という方は、一度睡眠時無呼吸の検査を受けてみることをおすすめします。
札幌市西区にあるグッドライフクリニック西町南では、簡易検査キットの貸出や結果説明を行い、必要に応じて精密検査であるPSGを自宅でできるように専門業者と連携しておこなっております。CPAPが必要な方については、グッドライフクリニックで導入することができるだけではなく、肥満症の治療を行い根治治療を行います。
「睡眠時無呼吸の外来だけはやっているけど、肥満外来はやっていない」「内科のクリニックで生活習慣病を診てくれるけど睡眠時無呼吸は専門ではない」という医療機関がほとんどです。肥満と睡眠時無呼吸の治療を同時に行いたい方にはおすすめです。
まとめ
今回のポイントをおさらいします。
- 肥満やメタボの方は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高い
- SASとメタボは相互に悪化を引き起こす関係
- 放置すると高血圧・糖尿病・心筋梗塞・認知症などを引き起こす
- 早期発見・早期治療で、健康寿命を延ばすことができる
いびきや日中の眠気は、単なる疲れではなく、病気のサインかもしれません。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
株式会社NoLaBoが提供する産業保健サービス
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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