目次
はじめに
熱中症といえば日中の炎天下で発生するものというイメージが一般的ですが、実際には夜間にも熱中症が発生しています。特に夜勤や交代制勤務を行っている労働者では、そのリスクが高まる傾向にあります。この記事では、夜間における熱中症の実態とその背景、そして対策について、産業医の視点から解説します。
夜勤・交代制勤務が抱える健康リスク
夜勤や交代制勤務は、体内時計(概日リズム)を乱し、睡眠不足や生活習慣の乱れを引き起こすことが知られています。これにより、心身の健康リスクが高まる中、見逃されがちなのが「夜の熱中症」です。特に夏場は、夜間でも気温や湿度が高く、空調が不十分な職場環境では熱がこもりやすくなります。
夜間の熱中症が起こるメカニズム
夜間に熱中症が起こる背景には、以下のような要因が挙げられます
- 高湿度と通気不良:夜間は気温が下がるものの、湿度が高くなるため、汗が蒸発しにくく体温が下がりづらくなります。
- 体温調節機能の低下:交代制勤務によって体内リズムが乱れると、体温調節機能がうまく働かなくなり、熱が体内にこもりやすくなります。
- 水分補給の不足:夜間は水分摂取の意識が薄れやすく、気付かぬうちに脱水状態になることがあります。
具体的なリスク要因
- 空調設備の不備:特に倉庫や工場、厨房などの現場では、夜間に空調がオフになるケースがあります。
- 防護服や作業服の着用:熱がこもりやすい服装での作業が避けられない業種では、さらにリスクが増します。
- 人員不足による連続作業:交代要員が足りず、休憩時間が確保できないことが熱中症の誘因になります。
夜間熱中症の予防対策
- 定期的な水分補給の推奨:個々の労働者に対して、水分補給のタイミングを明確に指導することが重要です。
- 作業環境の改善:夜間でも空調を適切に稼働させる、扇風機やスポットクーラーを活用するなどの対策が有効です。
- 勤務シフトの工夫:暑熱環境での連続作業を避けるよう、シフトの見直しを行う必要があります。
- 教育と啓発活動:熱中症に対する正しい知識と、夜間でもリスクがあることを周知する取り組みが不可欠です。
企業が取り組むべき対策と産業医の役割
企業は、夜間の熱中症予防を労働安全衛生の重要課題として捉える必要があります。産業医は、リスク評価を行い、職場の特性に応じた具体的な対策を提案・指導する役割を担っています。また、定期健康診断の結果を踏まえ、熱中症のリスクが高い従業員に対して個別対応を行うことも求められます。
まとめ ~夜間熱中症を防ぐために今できること~
夜勤・交代制勤務という働き方は、現代社会において欠かせないものですが、それに伴う健康リスクへの対策が不可欠です。夜間でも熱中症が起こるという事実を正しく理解し、個人・組織ともに予防意識を高めることが求められます。産業医としては、現場の実態に即した助言と働きかけを通じて、すべての労働者が安全に働ける環境づくりを支援していきます。
株式会社NoLaBoが提供する産業保健サービス
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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