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産業医面談でクビになる?誤解と真実を現役産業医が解説!

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産業医面談をすることになり、その結果「クビ」になるという記事を拝見しました。産業医面談は企業と従業員にとって重要な位置づけとなり、法的効力をもつことがあります。産業医が企業とグルになって報告書を作成すると、従業員に不利になるケースもあり、産業医には中立的な立場が求められます。

今回は「産業医面談でクビになる?誤解と真実を現役産業医が解説!」をテーマに記事を作成しました。ぜひ最後までご覧ください!

産業医面談とは?目的と基本ルール

産業医面談とは、企業が従業員の健康状態や労働環境について確認し、適切な就業配慮を行うために設けられる面談制度です。多くは「長時間労働者」「メンタル不調の申告があった従業員」「休職からの復職を希望する従業員」などが対象となります。

目的はあくまで「労働者の健康を守ること」であり、決して会社側が労働者を解雇するためのものではありません。労働安全衛生法に基づいて実施され、面談内容も本人の同意のもと記録・報告されるため、原則として守秘義務が存在します。

「産業医面談=クビ」は本当か?よくある誤解

ネット上で「産業医面談を受けたらクビになった」「面談で不利な情報を話したら解雇された」などの声を見かけることがあります。しかし、これは大きな誤解です。

産業医面談が直接的な解雇理由になることは、法的に極めて稀です。面談は、あくまで健康状態や職場での配慮を検討するものであり、それだけで退職を迫ることは不当解雇にあたる可能性もあります。

ただし、以下のようなケースでは、結果的に「退職」や「配置転換」が行われる場合があります。

  • 面談で明らかに業務継続が困難な健康状態であると判断された場合
  • 本人の希望で「今の環境では働けない」と訴えた場合
  • 就業制限の指示が出て、それに基づき業務調整が困難となった場合

これらは“クビ”ではなく、“適正な就業配慮”としての措置である点を理解することが重要です。

実際にあった事例:面談後に退職を迫られたケース

実際に私が顧問を務める企業でも、以下のような相談が寄せられたことがあります。

「メンタル不調で産業医面談を受けた翌週に、人事部から“退職も選択肢の一つ”と言われた」

このケースでは、企業側の「復職に向けた配慮」が不十分で、安易に“退職勧奨”という形で対応してしまったことが原因です。産業医としてもその対応には懸念を示し、再度の面談と第三者を交えた対応を提案しました。

このように、産業医面談を契機に企業側の対応が変わることはあり得ますが、それが直ちに「解雇=クビ」に直結するわけではありません。重要なのは、本人の意志と法的保護のもとで対応がなされるかどうかです。

面談で不利益を受けないために知っておくべき権利

産業医面談で従業員が守るべき、また知っておくべき権利には以下のようなものがあります:

  • 面談の内容は原則、本人の同意がなければ会社に共有されない
  • 面談はあくまで健康保持を目的とするため、解雇の根拠にはなりえない
  • 就業制限の意見は産業医の専門的判断に基づくもので、労働者に不利益を与えるものではない
  • 面談を断ることも可能だが、会社は産業医の意見をもとに業務継続の可否を判断することもある

また、もし面談後に会社から不当な圧力を受けた場合は、「労働基準監督署」や「労働組合」、「弁護士」などに相談することも大切です。

トラブルを避けるコツと、産業医からのアドバイス

最後に、産業医としての立場から、面談を受ける際に気をつけてほしいポイントをまとめます:

  • 「本音」と「冷静さ」を両立させる:言いたいことは伝えつつ、感情的にならず事実ベースで話す
  • 同席者を依頼するのも有効(人事以外の第三者など)
  • 自分の希望や職場での困りごとは、明確に伝える
  • 「医療的診断書」を持参すると説得力が増す

また、面談は“受け身”ではなく、“自分の働き方を見直すチャンス”として活用することが大切です。

まとめ

産業医面談は決して「解雇」につながるための制度ではありません。むしろ、労働者の健康と職場での安全な労働環境を守るための制度です。

万が一、面談後に不利益を感じた場合は、一人で抱え込まずに専門機関に相談し、適切な対応を取ることが大切です。冷静に、しかし自分の健康と働く権利を守るための行動を取りましょう!

【産業医について】

弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。

【代表紹介】 野呂 昇平

野呂 昇平

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。

【各種資格】

  • 救急科専門医
  • 産業衛生専攻医
  • 脳神経外科専門医
  • 脳卒中専門医
  • 脳血管内治療専門医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 産業医
  • 労働衛生コンサルタント
  • 健康経営エキスパートアドバイザー
  • 健康運動指導士
  • 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)

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