私は普段から頭痛外来を行っており、多くの方から頭痛の相談を受けます。初めて頭痛が起きたので心配で来る方もいらっしゃいますが、多くの方は1年以上頭痛に悩んでおり、市販薬を飲んだり、自分なりの治し方を繰り返して生活しています。
本日は「片頭痛の原因と効果的な治し方、発作時の対処法と予防策」をテーマにした記事を作成しました。とにかく伝えたいことは「慢性頭痛については頭痛外来を受診してください」の一言です。ぜひ最後までご覧ください!
目次
片頭痛とは?特徴と主な症状
片頭痛とは、頭の片側または両側にズキズキとした強い痛みが生じる頭痛の一種です。痛みは4時間から72時間ほど続くことが多く、以下のような症状を伴うことがあります。
主な症状:
- 吐き気や嘔吐
- 光や音に対する過敏性
- 頭を動かすと痛みが悪化する
- 前兆として「閃輝暗点(せんきあんてん)」が現れることもある
閃輝暗点とは、視野の一部がチカチカと光って見えにくくなる症状で、片頭痛が始まる前に現れることがあります。
また、片頭痛は20代〜40代の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化も関与していると考えられています。
片頭痛の原因と誘発因子
片頭痛の正確な原因は解明されていませんが、脳の血管が急激に拡張することで、三叉神経が刺激されることが関与していると考えられています。
さらに、以下のような要因が片頭痛を誘発するとされています。
(1)食べ物
- チーズやヨーグルトなどの発酵食品
- チョコレート
- 赤ワイン
- カフェインの過剰摂取
(2)環境要因
- 強い光や大きな音
- 天候の変化(気圧の低下など)
- 香水やタバコの煙などの強いにおい
(3)生活習慣
- 睡眠不足または寝過ぎ
- 過労やストレス
- 乱れた食生活
片頭痛は遺伝的要因も関与しているため、家族に片頭痛持ちの人がいる場合、発症しやすい傾向があります。
片頭痛の治し方|発作時の対処法
片頭痛が発生したとき、どのように対処すればよいのでしょうか?
(1)鎮痛薬を服用する
片頭痛の痛みが軽度から中等度の場合は、市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を服用すると効果があります。
痛みが強い場合は、トリプタン系薬剤(例:スマトリプタン)を使用することで、血管の拡張を抑え、痛みを和らげることができます。
トリプタンについては市販ではないため、頭痛外来を専門とする医療機関を受診してください。
頭痛専門の産業医からコメント
以前から頭痛に悩んでいる方は一度頭痛外来を受診しましょう!早期に対応することで片頭痛の頻度は少なくなり、日常生活が送りやすくなります。また片頭痛以外にも色々な頭痛の原因があるので、近所の内科医ではなく頭痛外来を受診してください!
(2)暗く静かな場所で休む
光や音に敏感になるため、カーテンを閉め、静かな部屋で横になるのがおすすめです。
(3)患部を冷やす
頭や首の後ろを冷たいタオルやアイスパックで冷やすと、血管の収縮を促し、痛みを軽減できます。
(4)カフェインを適量摂取
カフェインには血管収縮作用があり、片頭痛の初期にコーヒーや緑茶を飲むと痛みが軽減されることがあります。ただし、飲み過ぎると逆に片頭痛を引き起こすこともあるので注意が必要です。
(5)ツボ押しを試す
- 合谷(ごうこく): 手の親指と人差し指の間にあるツボ
- 太陽(たいよう): こめかみの少し後ろ
これらのツボをやさしく押すことで、痛みの軽減が期待できます。
片頭痛の予防策|日常生活でできる改善法
片頭痛を予防するためには、日頃の生活習慣を見直すことが重要です。
(1)規則正しい生活を送る
- 睡眠時間を一定にする(寝すぎ・寝不足を避ける)
- 決まった時間に食事をとる
- ストレスを適度に発散する
(2)食生活の改善
- 片頭痛を誘発する食品を避ける
- 水分をしっかり摂取する(脱水を防ぐ)
- バランスの取れた食事を心がける
(3)適度な運動を取り入れる
軽いウォーキングやストレッチ、ヨガなどは、血流を改善し、片頭痛の予防に役立ちます。
(4)頭痛ダイアリーを活用する
片頭痛が起こる頻度や状況を記録し、どんなときに痛みが出るのかを把握することで、誘発因子を避ける工夫ができます。
片頭痛を軽減するための生活習慣とセルフケア
片頭痛の影響を最小限に抑えるためには、次のようなセルフケアを実践するのが効果的です。
(1)リラックス法を取り入れる
- 深呼吸や瞑想を行う
- お風呂で体を温め、リラックスする
- アロマテラピーを活用する
(2)首・肩のマッサージをする
肩こりが片頭痛の引き金になることもあるため、首や肩のストレッチを日常的に行うのがおすすめです。
(3)片頭痛専門の医師に相談する
頻繁に片頭痛が起こる場合は、専門医の診察を受け、予防薬の処方や専門的な治療を検討しましょう。
まとめ
片頭痛は日常生活に大きな影響を与えますが、適切な対処法や予防策を実践することで、痛みを軽減することが可能です。
- 片頭痛の原因として、食べ物や環境要因、生活習慣が関係している
- 発作時の対処法として、鎮痛薬の服用や安静、冷却などが有効
- 予防策として、規則正しい生活や適度な運動、ストレス管理が重要
- 頭痛ダイアリーを活用し、片頭痛のパターンを把握することが予防につながる
日々の生活習慣を見直し、自分に合った対策を取り入れて、片頭痛をコントロールしていきましょう。
参考サイト ・厚生労働省「頭痛」 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c35.pdf
・頭痛学会 頭痛の診療ガイドライン2021 https://www.jhsnet.net/pdf/guideline_2021.pdf
【産業医について】
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。
【代表紹介】 野呂 昇平

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
【各種資格】
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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