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熱中症の症状に「頭痛」が出る理由とは?
夏場に急増する熱中症。その初期症状の一つに「頭痛」があります。
一見、軽い症状に思えますが、実は体が危険な状態に陥っているサインかもしれません。
なぜ熱中症で頭痛が起こるのか?
主な原因は以下の3つです
- 脱水による脳の血流低下:水分や塩分が不足することで、脳に十分な血液が届かず、酸素不足から頭痛を感じます。
- 体温の異常上昇:体温が上がりすぎることで脳の温度も上昇し、神経が刺激され痛みとして現れます。
- 血管拡張:高温によって頭部の血管が広がることで、拍動性(ズキズキする)頭痛が起こることもあります。
危険な頭痛のサイン
以下の症状がある場合は、単なる頭痛ではなく、命に関わる熱中症の可能性があります。
- 頭痛がどんどん強くなる
- 吐き気や嘔吐を伴う
- 意識がぼんやりする
- 筋肉のけいれんがある
- 会話が成立しないほどの混乱
このような症状が出た場合は、即座に医療機関を受診するか、救急車を呼ぶべきです。
頭痛が出たときの応急処置
熱中症による頭痛を感じたら、できるだけ早く対処することが重要です。自宅や外出先でできる応急処置をご紹介します。
自宅でできる基本的な治し方
- 涼しい場所に移動
冷房の効いた部屋や日陰に避難しましょう。 - 衣類を緩めて風通しを良くする
体の熱を外に逃がしやすくします。 - 首・脇の下・足の付け根を冷やす
動脈を冷やすことで体温を効率よく下げられます。 - 水分と塩分を補給する
経口補水液(OS-1など)やスポーツドリンクが理想的です。 - 安静にして体を休める
頭痛が治まるまで無理に動かず、しっかりと休むことが大切です。
間違った対処法と注意点
- 水だけを大量に飲むのはNG
水だけ飲むと体内のナトリウム濃度が下がり、「低ナトリウム血症」になる恐れがあります。 - 解熱剤を安易に使わない
熱中症の発熱に解熱剤は効きにくく、逆効果の場合もあるため医師の判断が必要です。
医師が勧める熱中症頭痛の治療の流れ
市販薬の使用について
軽い頭痛に対して市販の鎮痛薬(例:アセトアミノフェンやイブプロフェン)を使うのは一つの選択肢ですが、根本原因である「脱水」や「体温上昇」を解決しないと意味がありません。
痛み止めに頼りすぎるのではなく、冷却と水分補給を優先してください。
病院での治療方法
医療機関では以下のような対応が行われます
- 点滴での水分・電解質補給
- 体温モニタリングと冷却処置
- 意識障害がある場合はCTスキャンなどの検査
入院の判断は、脱水の程度、意識レベル、他の臓器障害の有無によって決まります。
頭痛を伴う熱中症で受診すべきタイミング
頭痛があるからといってすぐに病院に行く必要はありませんが、以下のような症状が出た場合は要注意です。
危険な見極めポイント
- 頭痛が長時間続く(30分以上)
- 吐き気や嘔吐を繰り返す
- 水分を全く受け付けない
- 意識がもうろうとする
- 手足のしびれやけいれんがある
救急搬送が必要なケースとは
次のような状況では迷わず119番通報してください:
- 会話が成り立たない、呼びかけに反応しない
- けいれんを起こしている
- 大量に汗をかいた後、逆に汗が止まっている
- 体温が40℃近くまで上昇している
熱中症は「時間との勝負」です。迷ったときは受診が基本です。
再発防止のためにやるべきこと
生活習慣・環境の改善
- こまめな水分補給(1日1.5~2Lが目安)
- エアコンや扇風機の適切な使用
- 外出時の帽子や日傘の活用
- 通気性の良い服装を選ぶ
- 日中の外出を避ける(特に11〜15時)
高リスク者への予防的アドバイス
- 高齢者:暑さを感じにくく、体温調節が低下
- 子ども:体温が急上昇しやすく、体力がない
- 持病がある方(心臓病・糖尿病など):症状が急激に悪化する可能性あり
日常生活の中で、「暑くなる前の対策」を徹底することが、再発防止のカギです。
まとめ
熱中症による頭痛は「軽く見える」症状のひとつですが、放置すれば命に関わる事態にもつながりかねません。
治し方の基本は「冷やす・休む・水分+塩分を取る」こと。そして異常を感じたら迷わず医療機関を受診することです。
医師として強調したいのは、「体が発する小さなサインを見逃さない」ことの大切さです。頭痛というサインを軽視せず、正しく対処することで、重大なリスクを未然に防ぐことができます。
ぜひこの知識を、ご自身だけでなく、ご家族や職場・学校でもシェアしてください。
厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト
【産業医について】
弊社はメディカルフィットネス事業と産業保健サービスを主軸にし、「健康と運動を通してたくさんの人を幸せにする」ための事業展開をしております。
厚生労働省認定のメディカルフィットネスで医学的な運動食事指導を、産業医、産業看護職、リハ職などが一つのチームとなり顧問先企業をサポートする、日本で唯一の産業保健サービスが行える企業でございます。
【代表紹介】 野呂 昇平

略歴
2013年 旭川医科大学医学部医学科卒業、医師免許取得。
脳神経外科学、救急医学をベースに大学での臨床研究や多くの手術症例を経験。
より多くの人を幸せにするため2021年2月、株式会社NoLaBoを設立。
- 2021年8月 エターナルフィット西町南 開業
- 2022年11月 エターナルフィット厚別 開業
- 2024年7月 エターナルフィット円山 開業
【各種資格】
- 救急科専門医
- 産業衛生専攻医
- 脳神経外科専門医
- 脳卒中専門医
- 脳血管内治療専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 産業医
- 労働衛生コンサルタント
- 健康経営エキスパートアドバイザー
- 健康運動指導士
- 公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
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